西暦2167年、日本はアメリカの圧制に苦しめられていた。当時の大統領ジャック・ミハエルが、日本に戦争を仕掛けてきたためだ。アメリ
カは日本の前にも、ロシアやフランス、イギリス、ドイツを植民地としていた。それ故に軍事力はとてつもなく高く、日本は三日で敗北を
喫した。



アメリカ軍は過去と同じように日本に上陸し、自分たちの邪魔になるであろう政界人を、処刑と称して次々と惨殺していった。日本人たち
は物のように扱われ、人々からは感情が消えていった。



けれどそのとき、日本人たちにとって「救世主」とも言うべき人々が現れた。リクト・ヴィレ民族、それが、彼らの総称だった。彼らは
皆、何かしらの能力を持っていた。千里眼、完全記憶能力などだ。



けれど日本人の血が混じり、リクト・ヴィレの能力は変化した。相手の生命力を吸い取る能力。相手と自身とを融合させ、相手の存在を完
全に消し去ってしまう能力。様々な新しい能力が生まれた。



すでに名前だけの存在となっていた日本政府は、その能力を宿した者たちを使って、日本という国と、消えていった人々の感情を取り戻そ
うとした。



結果、それは成功した。大統領ジャック・ミハエルはリクト・ヴィレと日本人とのハーフ――混血児たちによって暗殺され、それに煽られ
た反乱軍は動き出しアメリカ軍を日本から撤退させ、アメリカに植民地とされた国々を解放し、逆にアメリカを日本の植民地にした。それ
が、西暦2189年。アメリカは完全に沈黙した。



そして、いまから15年前の西暦2192年。日本のある研究所に、男女の双子が生まれた。男の赤子には、顔を除く全身にツタのような文様が
あり、女の赤子には、額に四葉のような痣があった。



研究所の者たちは、この双子をそれぞれ別の女性に育てさせた。けれど双子が3歳になる前に女性から離し、それぞれにある「教育」を施
した。「教育」と言えば聞こえはいいが、その内容は暗殺術だ。



男児には体中の筋肉を自在に操る能力があったため、それを生かした格闘術と、ありとあらゆる武器の扱い方を教え込んだ。



女児には予知能力と、言葉によって相手の神経を乗っ取り操ることのできる能力があったため、全世界の言語と言葉で結界を張り己の身を
護る術を教えた。



この時代、最高の能力を持った二人には、それぞれ名が授けられた。



男児には「討神(トーカ)」、女児には「射魔(イルマ)」と。










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